「着付け職種技能検定」を受験して。

こんにちは。ゆりです。
今日は、昨年受験した「着付け職種技能検定」についての思いを記します。
この技能検定は、国家検定制度で、厚生労働大臣の指定を受けて、一般社団法人全日本着付け技能センターが平成22年より毎年実施されています。
検定には、着付けに関する「学科試験」と「実技試験」があります。また「2級着付け技能士」と、「1級着付け技能士」の2つの資格があります。今年は、全国で札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡で開催されたようです。
私は、これまで学んだ「装道きもの学院」と「前結び宗家 きの和装学苑」の講師資格は持っていましたが、このような国家資格があることを知りませんでした。知人との会話の中でその存在を知り、国が認める資格であれば、ぜひ持っておきたいという思いで、今回チャレンジすることにしました。
おかげさまで私は、着付けの指導や他装の経験が5年以上あるため、「1級」の検定にチャレンジすることができました。
この試験のために、昨年4月から約半年間の講習会を受講しました。6月の学科試験まで、4回の学科講義を受講。学科は、着物の歴史・変遷以外は、日頃の仕事で馴染んだ単語や知識が多かったので、正直なところ楽な講義・試験でした。
学科試験に合格すれば、秋に実施される実技試験を受検することができます。学科講義に加え、5月からは「実技講習」も始まりました。月1回の講習です。実技試験の課題は、「モデルさんへのお振袖・着付け〜ふくら雀の帯結び」です。
実技試験には、たくさんの注意事項があります。受験で使用する「持参品の種類」など細かく記されています。
私にとって一番不安・心配だったのが、腰紐や伊達締め・伊達巻など合計8本以内の紐類を使った着付けということでした。日頃は、紐類はできるだけ使用していないからです。
初回の講習会で、講師の先生が、お手本の着付けを見せてくださいました。トルソーに、タオルやコットンの補正をされて、その補正がズレないようにガーゼで押さえられました。
その上に長襦袢です。抜いた衿が戻らないよう、また衿合わせがズレることのないように、仮紐を胸の上でしっかり結びながら、つどつどクリップを使いながら、きっちりと身体に沿わせ、伊達巻で幾重にもしっかりと締められた、とても綺麗な着付けでした。
そしてお振袖です。お振袖ももちろん、仮紐やクリップを使用しながら、着崩れしそうにない完璧なお振袖姿でした。
この講習会の受講生は、私を含めて4名です。私以外の3名の受講生さんは美容室関係の方々です。日頃から、着付けのお仕事もされていて、腰紐での着付けは慣れていらっしゃるようです。私は皆様の足を引っ張らないように、先生の着付けに習って、慣れない紐類でのお稽古を進めていきました。
今回の講習会での大きな発見は、腰紐の使い方、クリップの使い方、伊達締めの使い方でした。クリップも5個以内と規定がありました。日頃、クリップ1個の使用で着付けをしているため、クリップの使い方も勉強になりました。私情をおいて、先生の手順に沿って仕上げる練習に取り組みました。
検定は、最終的な仕上がり寸法が定まっています。例えば、半衿の出具合(衿合わせの中心で)が2〜2.5cmであること。おはしょりの長さが5〜8cmであることなどです。私はとにかく先生のお手本に習って、クリップや腰紐の使い方の手順に沿って、仕上がりサイズに出来上がることを目指し、お稽古を重ねていきました。
そんな中、着物も帯も、身体に添わせるように手でなでていくことはとても大事だと、再発見しました。
そして、10月15日(月)。モデルさん同行のもと、福岡での実技試験でした。その日の受験者は、40数名のようです。
段階を追って、検定委員の方々による点検や採点があります。まず、「検定のための持参品や受験者の服装の点検」です。その後「モデルさんの下着姿での点検」。いよいよ「補正から長襦袢着付け」があり、そこで採点時間を設けてあります。その後「着物着付けから帯結び」まで25分間が制限時間で、最終的な採点となります。
私は「『長襦袢姿』および『お振袖姿』の完成度が採点されるもの」と思い込んでいた私は、検定中に検査委員の方々が、近くでしっかりご覧いただきながら、採点表をお付けいただいているご様子にビックリしました。着付け中の手さばき・足さばきなど詳しいことはわかりませんが、受験者の全ての姿勢・動作などもしっかり採点の対象になっていたようです。
おかげさまで、合格の通知をいただき、とても嬉しく思いました。これまでも腰紐を使った着付けをやってはいたのですが、紐類のみの着付けやは、技能検定のあり方など、新たな学び・経験をさせていただきました。これも講師の先生方のご指導のおかげと、心より感謝いたします。
この技能検定を受けたいと思ったことで、久しぶりに、腰紐・伊達締めなどを使用する機会に恵まれました。何度もお稽古で使用したことで、改めて、紐を巻いている着付け時間も要し、身体を締め付けますし、巻きが増えて暑さにつながると感じます。
今回、晴れて「国家資格 一級着付け技能士」の許状をいただきました。学んだことを活かしながら、「できるだけカンタンで、短時間で着れる着付け、それでいて着崩れしない、ラクで心地よく着続けられるお着物姿をオススメしたい。」と、改めて思いました。
これからも、シンプル着付けを、お一人でも多くの方にお伝えして、早く、ラクに、着物姿を楽しんでいただくために、コツコツと頑張っていきます。
長文にお付き合いくださり、誠にありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。 ゆり